THE INTERVIEWS

※画像と本文はまったく関係ありません。

まず前提として、わたしがやったゴーストというのはすべて「著者へのインタビューの文字起こしをもとに文章化し、最後はもう一度著者校を入れてもらう」というものです。一般的にゴーストといったときにイメージされる小説などの創作系にはタッチしていません。インタビュー自体は編集さんがすることもあれば、自分がやることもありました。ジャンルとしては基本的にビジネス書だとか新書のノウハウ本だとか、要するに実用系の文章でした。

さて、ゴーストライターというのは、基本的に「著者の方の代理として文章化する部分を担当する」仕事です。そうすると、著者が言いたいことを理解したうえで、その意図を正確に伝えることを求められます。著者の思考回路を読み取り、それを自分の中にコピーしたうえで文章化するというのがゴーストライターです。平たく言えば「著者になりきる」わけです。インタビューはそのための情報を手に入れる作業です。

この点、ジャーナリストによる追及型インタビューとは違います。ジャーナリストは相手に対して疑惑点を追究したり、相手が隠していることをほじくり返して自白させようとします。それは相手を攻撃するものであり、相手の悪いところを見つける作業です。しかし、ゴーストライターは著者の言いたいことをいかに世の中にうまく伝えるかがポイントです。

著書に書くのに必要な著者の思考回路をコピーするのが目的ですから、そのための情報を過不足なく集めるのがゴースト・インタビューのキモです。

まず、事前に質問事項をピックアップします。よく仕事させていただいていたG書房さんの編集さんからは「インタビューの1週間前までに質問項目100個送ってください」と言われていました。もちろん、その質問項目の中には結果的に使えないものもありますし、それ以外の質問が現場で必要になることもありますが、新書まるまる一冊書くなら100項目くらいの質問は用意しておくのがいいでしょう。

それを事前に著者に送っておきます。著者もその質問項目を見ることで本の方向性が見えてきます。できれば資料なども用意しておいてもらいます。

この質問項目を考えるための事前インタビューというのもアリです。ただ、それは一般には「事前の顔合わせ」と称して、喫茶店やお酒の席で雑談っぽく、それでいて本の趣旨を説明しながら内容についての概論を聞きます。

一方で、インタビューまでの間にその著者の別の著書などがあれば必ず目を通しておきます。すべての著書を読まずとも、代表作もしくは新刊を一冊は必ず通読すべきです。最近だったらブログやツイッターも要確認ですね。

インタビュー本番では、実はアドリブ力が必要になってきます。質問している意図からずれた発言が出てきます。むしろそれが面白い部分でもあります。そこで、あまりにも本題からずれた場合や同じ話ばかり繰り返される場合は、さりげなく修正しなければなりません。一方で、事前に予測していなかったが興味深い話題が飛び出した場合は、「いまのこの話、もう少し詳しく聞かせていただけませんか」と掘り下げて訊かねばなりません。さもないと、書くときに困るのは自分です。ただ質問用紙に書かれた質問を読んで、それに答えてもらう、というだけではゴーストのインタビューとしては全然だめです。

「著者が《本来》言いたいことをいかに表現するか」という目的を果たすために必要なことを過不足なく訊くこと。それがポイントだと思います。

もちろん、インタビュー「される側」の資質というものもあって、話せば話すほど掘り下げられてすばらしい内容になる著者の方もいますが、質問に一言答えるだけで資料文献を渡しておしまいというような方もいます。話がそれまくって全然まとまらない方もいます。

なお、執筆しているときには話の内容をもう一度精査しておく必要があります。数値などのデータを正確にするのはライターの仕事です。もし、事実誤認に基づいて誤った発言になってしまっている場合は、著者に確認する必要があります。

ゴーストライターの仕事で最もうれしかったのは、著者の方から「自分の言いたいことを、自分が考えるよりもずっと正確に書いてくれました」と言われたときです。具体的な書名は出せないのが残念です。

2011-09-03 12:06:11